初めてのパニック発作
難病の妹が大手術を受ける日、20歳の大学生である私は病院の待合室にいました。
長時間に及ぶ手術で生死にかかわるほどのものだったので、兄として私は気が気ではなかったです。
身内や親しい友人を亡くした経験もなかったので、
私は初めて身内が生死の危機にさらされる場面に直面し、
本当に不安でいっぱいだったのを覚えています。
しかし、そんな不安もよそに、手術は無事成功して妹は自分の病室に戻ってきました。
長時間に及ぶ大手術であったのにもかかわらず、
少し意識が朦朧とはしているものの元気そうな顔をしていました。
少しの間、妹の顔を見て家族で談笑していましたが、
妹はこれから休まなければいけないので、私たち家族は帰宅することにしました。
そのときです。
椅子から立ち上がった私は全身の力が抜け、立っていることができなくなりました。
「あれれ?おかしいな?」と思いつつ、もう一度立ち上がってみましたが、
やはり立っていることができずに椅子に座り込んでしまいました。
「どうしたんだ?」と聞いてくる祖父に対して、
「なんか体がおかしい。なぜか立てなくて・・・」
と答えている最中に、体中が熱くなっていくのを感じていました。
まるでストーブに囲まれているのかと思うくらいの熱さでした。
それと同時に、心臓がバクバクしてきました。
座っていることすら困難になった私は、病室の床の上に寝ころがってしまい、
「ああ、やばい、このまま死ぬのか・・・」という考えまでもが頭をよぎりました。
すると、ちょうどタイミングよく妹の容態を診に来た主治医が、
病室で寝ている私を発見しすぐに診察してくれました。
「立っていられなくて心臓がバクバクします。」と伝えると、
「この指は何本に見える?」「今日は食事をとった?」という問診を受け、
さらに脈なども調べてくださいました。
「妹さんの無事を確認できて、緊張が一気にほどけたから自律神経が乱れたのでしょう。大丈夫ですよ。」
と言われ、だいぶ安心しました。
それから30分ほどその場で休憩して無事に歩けるようになったので、晴れて帰宅できたのでした。
まさか、お医者様も、患者の兄まで診察することになるとは思わなかったことでしょう(笑)
これが、私の初めてのパニック発作です。
その後体験する全てのパニック発作の中で最も強烈でした。
ちなみにパニック障害という病気が存在することはそのとき既に知っていました。
症状の知識もある程度はありました。
しかし、まさか自分がこの日体験した症状が “パニック発作” だったとは、そのときは思わなかったのです。
もうこれっきりの一度だけの体調不良だと思っていました・・・しかし・・・
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